日曜日。昨夜の恵比寿の悪夢のような疲労が抜けず、昼過ぎまでベッドから起き上がれなかった。
3万円の出費と、20代女子たちの前で晒した無力感。
何が「モテ期到来」だ。ただの頭数合わせのスポンサーおじさんだったではないか。
傷ついた自尊心を救済するため、俺はAKRACINGのゲーミングチェアに深く身を沈めた。
ソニーのワイヤレスヘッドセット「PULSE Elite」を装着。
スマホを接続し、YouTubeで『GTA Vice City』のラジオ局「Flash FM」と「Wave 103」のサントラを爆音で再生した。
耳元に流れ込んでくる80年代のシンセポップ。
ローラ・ブラニガンの『Self Control』、ホール&オーツの『Out of Touch』。
どこか哀愁を帯びたシンセサイザーのメロディと、カッティングギターのリズムが、痛烈に乾いた俺の心を包み込んでいく。
目を閉じれば、そこにはヤシの木が揺れるマイアミの夕暮れ。
白いテスタロッサを飛ばし、ネオン煌めくオーシャンドライブを疾走する自分がいる。
合コンの世間話も、TikTokの流行も、ここには存在しない。
「女心なんて分からなくていい。俺にはバイスシティがある」
現実逃避の極致のようなセリフを呟きながら、俺はヘッドセットの中でリズムを刻んだ。
あと3日待てば、修理された新品の65インチ有機ELが帰ってくる。
俺の本当の人生は、そこから始まるのだ。あと32日。
犯罪後に武器を捨てたり、血の付いた服を処分したりすることで、警察の捜査網から逃れるメカニクス。証拠隠滅の基本ですぞ。(関連キーワード:証拠隠滅 / 武器を捨てる / 捜査回避 / 完全犯罪)